発表概要
外国語における文法的慎重性(GC)とは,外国語のパフォーマンスにおける速さと正確さの二律背反を媒介する学習者の心理的および行動的特性である。これまでの研究でGCは,複数の課題成績および外国語に関わる学習者ビリーフとの相関を示し,一般的な性格特性とは強い相関を示さないことがわかっている。しかしながら,GCとジェンダーの関連については不明であり,それ以前に,GC尺度(Kusanagi et al., 2015)のジェンダー間における測定不変性および構造不変性が検討されていない。そこで本研究は,ジェンダーによって層化したGC尺度のデータを多母集団の検証的因子分析にかけることによって,(a)配置不変モデル,(b)弱測定不変モデル,(c)強測定不変モデル,(d)因子平均に等値成約を置くモデルをそれぞれ検証した。分析の結果,最後のモデルがもっとも適切であると判断した。このことは,GC尺度はジェンダー間において測定不変性を持ち,更に因子平均に差はないということを示す。
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Last-modified: 2016-05-04 (Wed) 23:12:21 (JST) (3108d) by ozeki