発表概要
日本の英語教育における「訳」は、辞書や文法書等を用いて訳出する 「英文和訳(置換え訳)」と,原著の発話者 の心身状況 を考慮して原典で理解した内容を日本語で再表現する「翻訳」に分類される。「英文和訳」の評価は従来、原典との正確さを観点に点数化されるが、後者の「翻訳」は必ずしも客観的な点数化を必要としないのではないか。 それに対する代替案 として、本発表はArendtの議論を援用した複数名の他者 による質的評価の例を提示する。 協力者は学部生1名と翻訳経験者2名で、学部生が物語文を訳出した際の文章と訳出プロセスに関する語りを、翻訳経験者2名に提示して評価を依頼した。その結果、学部生が “a young girl” という名詞句を「少女」と訳出した際に、その人物像や他の登場人物との人間関係を考慮していたが、翻訳経験者2名がそれぞれ異なる観点 (自然さ・物語のミステリー性) から「少女」という訳の問題点を指摘したことが分かった。
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最終更新: 2016-02-12 (金) 02:20:46 (JST) (2998d) by kawaguchi