日本語を母語とした英語学習者の単語認知における音韻処理について--光トポグラフィーを用いた脳活動計測による検討--
発表概要
単語認知に関して、Colthert, et al. (2001)では二重経路モデル(Dual Route Cascade model)が提唱されている。このモデルでは、単語全体の文字パターンから意味表象にアクセスする直接ルートと、GPC規則に媒介された間接ルートがあるとされている。
この二重経路モデルに関して、近年では脳機能イメージング手法を用いた実験が盛んに行われている(Fiebach, et al., 2002など)。これらの先行研究から二重経路モデルの間接ルートには下前頭回の活動が関連していることが明らかとなっている。しかしこれまでの先行研究は母語のみを取り扱ったものが多く、第二言語を取り扱った研究は僅かである。
そこで本研究では英語の上級学習者を対象とし、高頻度規則語、高頻度例外語、低頻度規則語の3つの条件による語彙性判断課題を実施し、その際の下前頭回の活動を調査した。実験の結果、高頻度語よりも間接ルートに依存するとされている低頻度語において、左半球の下前頭回の活動が顕著に見られた。この結果より、下前頭回の活動から考えられる間接ルートの利用は、学習者においても母語話者と同様の傾向を示す可能性が示唆された。
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最終更新: 2015-03-14 (土) 00:29:15 (JST) (3332d) by ozeki