発表概要
タスクが複雑になると,タスクの要求する認知的負荷が高まり,タスクの難易度が上がるとされている。多くのタスクの複雑さに関する研究では,研究者が理論的要因に従ってデザインした難易度の低い単純なタスクと難易度の高い複雑なタスクを学習者に課し,タスクを行った学習者の言語パフォーマンスに関する考察が論じられてきた。しかし,これらの手法では,タスクが実際に複雑であったかが確認できず,学習者の言語パフォーマンスに表れた特徴がタスクのデザインが要因であることを裏付ける証拠が不十分である。よって本研究では,タスクを行った学習者の自己評価による主観的なタスクの困難度を測定し,タスクが複雑になると学習者が実際に難しいと感じるのかどうかを検証した。分析の結果,単純なタスクと複雑なタスクにおける学習者のタスクの困難度の評価値を比較したところ,有意差はなかった。よって本研究結果からは,タスクの複雑さを操作しても,認知的負荷が高まっていない可能性が示唆された。
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最終更新: 2018-02-11 (日) 22:37:27 (JST) (2266d) by kawaguchi