発表概要
これまでのL2ライティングの研究において,統語的複雑さというテキスト上の特徴は,熟達度に応じて線形に発達していくわけではないことが指摘されている。Norris and Ortega(2009)では,Systemic Functional Grammarを理論基盤に,熟達度に応じて異なった指標を用いて統語的複雑さを測定するべきであると主張している。しかしながら,熟達度別に異なった統語的複雑さ指標を用いた研究はまだあまり行われていない。本研究では,学習者コーパスNICEのエッセイを対象に,テキスト上に現れる統語的複雑さが熟達度に応じて線形に発達していかないという先行研究の知見を踏まえ,ノンパラメトリック回帰分析の一種である平滑化スプラインという手法を用いて,統語的複雑さ指標と学習者の熟達度との連関関係を調査した。回帰分析でのモデルを比較した結果,指標によって線形に当てはまる指標もあれば,非線形の当てはまりが良い指標もあった。この結果に基づき,熟達度ごとのテキスト上の特徴を統語的複雑さという側面から議論する。
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最終更新: 2016-05-04 (水) 23:15:00 (JST) (2914d) by ozeki