発表概要
本研究は日本人英語学習者の聴解時のLate closure・Early closure文の処理における韻律情報の影響を明らかにすることを目的とする。先行研究において音声提示された統語的曖昧文の処理は統語と韻律との整合性がない場合に阻害されることが示されてきた(Harley, Howard & Hart, 1995; 中村, 2009)。一方でこうした研究の多くは語彙や意味といった韻律以外の情報が文処理に影響を及ぼしている可能性を排除できておらずまた韻律そのものが文処理に及ぼす影響を明示できているとはいえない。そこで本研究では英語の熟達度が異なる学習者を対象に統語的曖昧性のある文の一部を音声提示しその文がLate closureかEarly closureかを選択する課題および韻律情報を削除した音声を用いた同様の課題を行った。結果、韻律情報によって音声提示された文の統語構造の把握は促進されることが示された。また学習者の熟達度に関わらず韻律情報は統語的曖昧性の解消のための手がかりとして用いられる可能性が示唆された。
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Last-modified: 2015-10-27 (Tue) 01:25:02 (JST) (3299d) by ozeki