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反応時間データにおける語彙特性効果から見る語彙の即時的運用能力:語長・頻度・親密度・心像性に着目した予備的検討
The Effects of Lexical Properties on Reaction Time as the Measure of L2 Learners’ Lexical Facility Development
発表概要
近年の第二言語における語彙習得研究では,語彙の即時的運用能力(lexical facility)が重要視されている。語彙の即時的運用能力は,これまで語彙アクセスの速さおよび時間的安定さを以って操作化されてきたが,本研究は,語彙の即時運用能力の発達を,「語彙特性の影響からの相対的独立性」という観点から捉える。学習者の語彙認知は母語話者よりも顕著に,語長,頻度,親密度,心像性といった語彙特性に強く影響されることがこれまでに分かっている。
上記の四つの語彙特性が学習者の語彙認知に及ぼす影響の程度を調べる為に,直交表実験計画を用いた語彙性判断課題を30名の学習者に実施した。個々人の成績に対し,信号検出理論における弁別力を示す指標d’,四つの語彙特性ごとの水準間における反応時間の標準化平均差,および自動化係数(CVRT)をそれぞれ求め,TOEICスコアや各能力の自己評定値などのデモグラフィックな変数を含めた相関分析を行った。結果として,各語彙特性効果へ対する相対的独立性は,語彙運用能力の発達と連関がある可能性が示唆された。
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Last-modified: 2016-02-06 (Sat) 05:43:08 (JST) (3225d) by ozeki