発表概要
注意は第二言語の習得において重要な役割を担うとされている。先行研究ではその注意の「量(注意を向けた回数など)」を取り扱ったものと「焦点(特定の側面に対して注意を向けた割合)」を取り扱ったものがあるが,研究においてそのどちらかを取り扱う積極的な理由を論じているものはほとんどなく,概観の際においてもそれらは同様のものとして扱われている。そこで,本研究ではその注意の「量」と「焦点」のどちらがより言語発達に寄与するかを検討した。 実験には16人の大学生が参加した。参与者はエッセイライティングを行い,その後自由にそのエッセイを推敲してもらった。その際,修正を行った部分に対してなぜその修正を行ったのかに関して全ての箇所で言語化を求めた。その後,同じトピックで再度ライティングを行った。分析に際し,文法的な部分に言及した回数を「文法に対する注意の量」,すべての言及に対する文法的な言及の割合を「文法に対する注意の焦点」とし,数量化を行った。分析の結果として,注意の量は統語的複雑さを予測するが,注意の焦点はその予測力がない可能性が示唆された。
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Last-modified: 2015-02-10 (Tue) 23:48:02 (JST) (3595d) by kawaguchi