概要
日本語の語彙には高低(ピッチ)アクセント,英語の語彙には強弱(ストレス)アクセントと,異なる種類のアクセントが付与される。日本語のアクセントには地域差があり,多少異なっていても意味が通じることが多い。そのため日本語のアクセントは「飾り」であると言われることさえある。しかし,英語では,正確なアクセントで発音しなければ理解されないことが多い。‘McDonalds’を「マクドナルド」と日本語の外来語のつもりで発音しても,英語母語話者には何を言っているか通じない。この例のように,英語の発音においてアクセントが重要であることは明らかである。正確な発音ができることは「産出(production)」する能力であるが,英単語のアクセントを聴いて正確に「知覚(perception)」する能力はどうであろうか。コミュニケーション能力の習得においてどれほど重要なのであろうか。
本講演では,日本語学習者の英単語のアクセントに対する知覚が,英語の語彙力および総合的な聴解能力にどのように影響するかを調べた研究結果を報告する。具体的には,まず,(1)正しい位置にアクセントを置いた語と誤った位置にアクセントを置いた語を音声提示して学習者に正誤判断をさせ,その正答率と速度という二つの指標から英単語の「アクセント知覚度」を測定する。そして,(2)語彙の種類(名詞と副詞)とアクセント位置の違いによる知覚度を分析する。さらに,(3)学習者のアクセントの知覚度が,彼らの語彙力と総合的な聴解能力にどのように影響するかを検討する。これらの分析結果に基づいて,英語の強弱アクセントの知覚の重要性について考える。
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Last-modified: 2015-11-02 (Mon) 11:38:48 (JST) (3321d) by ozeki