発表概要
読解プロセスの解明に有効な手段である眼球運動計測の実験は、言語刺激の特性を厳密に統制・操作する要因計画と、厳密な統制を行わずに読解時の眼球運動と言語的特性の関連を調べるCorpus-Based分析法に大別される(Rayner, 2009)。代表的な読解時の眼球運動データのコーパスは、Dundee Corpusが挙げられる(Kennedy & Pynte, 2005)。
本研究は、第2言語の読解研究では研究例が少ないCorpus-Based分析法の有用性について、日本人英語学習者48名の英文読解時の眼球運動データと、言語的特性―語長と頻度、文脈の予測度―の関連を一例に調査した。予測度については、コーパス(BNC)に基づいた、“Surprisal”(Hale, 2001)の計算結果を利用した。
線形混合モデルを用いて分析したところ、日本人英語学習者は、3つの言語的特性にも敏感であることが判明した。これは、Corpus-Based分析法は第二言語の読解時にも有用であることを示す。本発表では、読解時の眼球運動データをコーパス化する利点と今後の読解研究への応用性を議論する。
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最終更新: 2015-10-29 (木) 17:28:19 (JST) (3099d) by kawaguchi