概要
リーディング行動がリアルタイムで反映される眼球運動と、読解の構成能力(語彙知識のサイズと下位レベルの処理能力)との関係を調査した結果が発表された。眼球運動のデータとしては読みの速度、注視時間、右方向へのサッカード距離が測定された。調査結果として、語彙サイズが大きく下位処理能力も高い学習者はよりスムーズな読みができること等が報告された。発表後、眼球運動と読解能力/プロセスとの関係についての質問が寄せられた。
概要
オンラインと対面といったモードの異なる言語活動において、タスクの認知負荷が産出言語の正確さと自己修正行動に及ぼす影響について調査した。オンラインチャットの方がより正確な言語産出が行われるのに対し、自己修正行動は対面での方が多い、また自己修正は対面の場合は文法的な修正がなされるのに対し、オンラインでは語彙的な修正が中心となる、といったモード間での差異は観察されたが、認知負荷の影響は明確には観察されなかった、といった結果が報告された。ただし、オンラインでのチャットについてはチャットログをデータとして分析したため、入力を確定するまでに行われた自己修正行動は観察できていないことを含めて、今後の検討課題とされた。質疑応答では、指導への応用という観点から、正確さの維持・向上にオンライン/対話という異なるモードをどのように活かすことができるか、といった点を中心に意見交換が行われた。
概要
L2における意味ネットワークにおけるL1の役割を調査することを目的として、一つの語形に対し複数の意味を持つ homographs を刺激語として、英語母語話者と日本人英語学習者を対象に行った語連想課題の結果が報告された。調査においては、連想語として想起される言語の割合(L1語かL2語か)と、意味の優位性(第一義/第二義として想起される意味)の観点から両被験者群の反応が比較された。その結果、学習者の場合、最初の想起語のほとんどが刺激語に対するL1の対訳であることに加え、必ずしも意味の優位性が母語話者と同じではない(同じ語義が第一義として想起されない)こと、また、たとえ同じであってもその割合が異なるケースがあることなどが散布図を使って報告された。質疑応答では、英語母語話者・学習者のそれぞれの反応について、想起された語や語義のばらつきの有無や安定性の違いを考慮に入れること、また学習者の回答に対する外来語の影響などが提案された。
概要
英語学習者の読解プロセスの解明につながる手段として近年注目されている眼球運動計測の実験は、1つの単語に着目して言語刺激の特性を厳密に統制・操作する要因計画と厳密な統制を行わず英文に使用される大半の単語の言語特性を分析する Corpus-Based分析法に大別される。本発表では、Corpus-Based分析法に基づき、言語特性として単語の長さ(語長:word length)、単語の使用頻度 (word frequency)に、Surprisal と呼ばれる文脈情報による予測度の指標を加えて、日本人英語学習者48名の英文読解時の眼球運動計測値のうち初期固視時間 (first fixation duration)と凝視時間 (gaze duration) の指標との関連について、線形混合モデルによって分析された結果が報告された。眼球運動計測値の指標の種類によって関係性は異なるが、3つの言語特性が読解プロセスに何らかの影響を与えている可能性が確認され、Corpus-Based分析法の利点と今後の研究の方向性について述べられた。質疑応答では、「統語的環境だけでなく語彙的な環境に、Surprisalの文脈情報が影響されているのではないか」と質問があったが、「統語的要因と語彙的要因を Surprisal では統計的に分離していて、本研究では統語的要因に限定した分析」である旨、説明があった。
概要
The aim of the presentation was to demonstrate the effective and active use of blogs in EFL classrooms. By using authentic videos like TED talks, for instance, students were given chances not only to focus on listening, but also to interact with their peers and teacher through speaking and writing activities in critical and collaborative manners. An example was shown to illustrate how to encourage students to write a summary of the video, to write what they had learned from the video, and to write about their similar experience as a way to integrate their semantic networks. The results of the post-hoc test score analysis showed that the average score for the treatment group (with blog-based instruction) was significantly higher than that of the control group (without blog-based instruction). It was also found that some of the writing assessment components had salient improvements but not all of them did, which issue might be the target for future research.