発表概要
第二言語学習者の持つ文法知識に関しては,明示的知識・暗示的知識の二分法が提案されている。一般に明示的知識は,認知的資源を消費する意識的な統制処理を伴い,暗示的知識は認知負荷とは独立した自動的な処理を可能にするとされている。しかしながら,語用論的側面における学習者の注意,及び二つの言語知識の役割についての研究は僅かである。本研究では認知心理学で用いられる干渉課題の見地に立ち,大文字と小文字を混合させた刺激提示による統語的及び語用論的逸脱性の判断課題を用いて,二つの種類の逸脱に対する学習者の注意がそれぞれどのように変化するかを調査した。
提示条件の例:I CAn't Do It toDAy But I wILL Do It nExt wEEK.
15名の大学院生(TOEIC: M = 791.88)が実験に参加した。課題の正答率を従属変数とした二元配置分散分析(提示条件:通常提示・混合提示×逸脱の種類:統語的・語用論的)の結果,混合提示条件は,語用論的逸脱への注意のみを抑制することが分かった。発表では,異なる側面における言語知識と注意の関係性,及び本測定法の可能性について議論する。
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最終更新: 2015-10-22 (木) 23:37:09 (JST) (3110d) by ozeki