日本人の英語のレトリックと文章構造
辻岡 宏子(明治大学)
英語との対照レトリック論の研究では日本語の文章は尾括型の傾向を示すとされ、口頭による説明も問題の背景説明から始まり、段階を経て論旨に至る傾向があるという研究報告がある(Watanabe, 2005)。しかしながら、筆者の先行研究(Tsujioka, 2009)では、英語のエッセイにおいて頭括型の使用も報告されている。
今回の研究は81人の日本人大学生による英語の説明文をデータとし、7つのレトリックと文章構造(説明文中の主題文の場所)に焦点をあてて使用頻度の高い項目を調べた。その結果最も頻繁に使用されたレトリックは、主題の背景を時系列により詳細に述べていく方法であった。使用頻度が最も高かった文章構造は主題文が2箇所以上に散らばっているもので、2番目に多く使用された構造は頭括型、3番目に多く使用された構造は主題文が中ほどに置かれているものであった。結果として、被験者の文章には論理的思考を重視する英語教育の影響が見られた一方、特に主題文を中ほどに配置する文章は背景説明を伴うものが多く、母語の談話構造の影響も見られた。
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Last-modified: 2015-03-15 (Sun) 02:16:17 (JST) (3620d) by ozeki