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第二言語学習者における産出語彙の親密度・心像性・具象性:学習者コーパスNICEを用いて
発表概要
これまで第二言語における語彙習得の研究や,学習者コーパスを用いた量的研究では,使用語彙の多様性,及び語彙の一般的頻度に基づく産出語彙の計量分析が盛んに行われてきた。しかしながら語彙が持つ特性には,頻度の他にも,話者の主観的評定に基づく心理言語学的特性も存在する。
そこで本研究は,心理言語学的特性の評定値に基づき,日本語を母語とする英語学習者における語彙の産出傾向について調査した。学習者コーパスNICE(Nagoya Interlanguage Corpus of English)に採録されているエッセイを対象として,三つの心理言語学的特性(親密度,心像性,具象性,評定値のデータはMRC Psycholinguistic Databaseを使用した)に着目し,各エッセイの異なり語数における低評定語(2000位以下)が占める割合を分析した。
結果,以下の四つの点が明らかになった。
1. 学習者は英語母語話者よりも,高い親密度,心像性,具象性を持つ語彙を使用する傾向が強い
2. 三つの心理言語学的評定値とTOEICスコア及びエッセイ評価の相関関係は非常に弱い
3. 親密度は語彙の多様性指標,及び頻度に基づく指標と中程度の相関関係がある
4. 三つの心理言語学的評定値には強い相関関係がある
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Last-modified: 2015-03-14 (Sat) 00:30:57 (JST) (3495d) by ozeki