概要
Kaplan(1966)がテキストパターンの文化類型論(Contrastive Rhetoric; 以下CR)を仮定して以来、CRは文化の干渉に注目してきた。しかしその後情報革命が起こり、情報技術の発達普及に伴う英語文化の影響で、世界中の文化格差が薄まりつつあり、多くの先行研究が現代に通用しなくなっているのではないかという疑問がある。今までの研究では、日本人は起承転結の影響で帰納型を好むとされているが、本研究で、帰納型の占める割合について、日本人と数カ国の外国人大学生の説得文を比較したところ、起承転結の干渉の可能性は非常に低いという結果を得た。更に、帰納的に書くか演繹的に書くかの意思決定は、‘トピックの性質’に大きく左右されることがわかり、‘文化の影響’や最近の‘小論文指導の効果’は認識されなかった。トピックは4種類に分類され、それぞれ演繹型、帰納型の取られる割合に違いがあることが確認され、またこの傾向は、どの母語話者の説得文にも共通して認められた。CR本来の目的はESLライティング教育にある。説得文を書く際のガイドとして、トピックとテキストパターンの相関関係を知ることは、教師、学生双方にとって大変有益と思われる。
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Last-modified: 2015-03-15 (Sun) 02:19:47 (JST) (3553d) by ozeki